原付専用ナビアプリ「GenNavi」を作った理由|二段階右折と通行禁止に悩んだ開発者の実体験
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目次
前書き
原付に乗って、初めて知った「道の怖さ」
日常のちょっとした移動や買い物の足として、原付(電動バイク)に乗り始めたときのことです。
(愛車は以前レビューも書いたCOSWHEEL MIRAI Sという電動バイクです。)
「これで電車やバスの時間を気にせず、どこへでも気軽に行けるぞ!」とワクワクしていました。
でも、その楽しさは最初の数回で打ち砕かれます。
スマホでいつものGoogleマップを起動し、知らない街へ向かって走り出した瞬間に直面したのが、**「原付で知らない道を走るの、怖すぎる問題」**でした。
バイパスの入口で急に現れる「125cc以下通行禁止」の標識。
多車線交差点の直前で「ここ二段階右折だっけ!?」とパニックになる焦り。
大型トラックが横を60km/h超で駆け抜けていく幹線道路でのプレッシャー。
「世の中にこれだけ便利なナビアプリがあふれているのに、なんで原付が安心して走れるナビはないんだろう?」
この記事では、そんな日々の不便と恐怖からスタートした原付特化ナビアプリ**「GenNavi(ゲンナビ)」**の開発ストーリーと、プロダクトに込めた想いを正直ベースで書いてみます。
既存のナビアプリでは救われなかった理由
車向けでも自転車向けでもない「原付」という特殊な存在
世の中にあるナビアプリは本当に優秀です。GoogleマップもYahoo!カーナビも、自動車や徒歩で使う分には非の打ち所がありません。
ただ、「原付(特に50ccや新基準原付)」という乗り物は、道路交通法上あまりにも特殊すぎました。
- 法定速度は30km/h
- 3車線以上の交差点では二段階右折が必要
- バイパスやトンネルなど、原付だけ通行禁止の区間があちこちにある
自動車用のナビを使うと、有料回避を設定していても「無料の自動車専用バイパス」や「原付通行禁止のアンダーパス」へ案内されてしまいます。
一方で自転車モードや徒歩モードを使うと、歩行者専用道路や階段、一方通行の逆走ルートを案内されてしまい、車両である原付は走れません。
大手ナビアプリからすれば、原付というカテゴリは自動車に比べてユーザー数が少なく、ルールも国や排気量ごとに細分化されていて対応コストが非常に高い領域です。
「大手企業がやらないなら、自分自身が本当に欲しいと思える原付専用ナビを自分で作ってみよう」
そう思ったのが、個人開発を決意したきっかけでした。

OpenStreetMapとの出会いと開発のスタート
世界中の有志が作る地図データ「OSM」
原付専用のナビを作る上で、最大の壁となったのが「地図データ」と「ルーティングエンジン」でした。
原付が通れる道・通れない道を正しく判別し、二段階右折が必要な交差点を判定するためには、道路の車線数や細かな通行規制データが不可欠です。
そこで出会ったのが、世界中の有志によって整備されているオープンな地図プロジェクト**「OpenStreetMap(OSM)」**でした。
OSMには、一般的な地図アプリには載っていないような細かな道路属性(車線数、一方通行の対象車種、通行規制タグなど)が豊富に記録されています。
このOSMのデータをベースに、オープンソースのルーティングエンジン「Valhalla」を組み込み、iOSアプリとしてオフラインでも高速に動作するナビゲーションの仕組みを一から構築していきました。


机上の計算だけでは分からない。実走しながら改善する日々
走って初めて分かる「地図と現場のギャップ」
開発が始まってから一番大切にしているのが、**「実際に原付で走りながら検証と改善を繰り返すこと」**です。
どれだけパソコンの画面上で完璧に見えるルートを引いても、実際に走ってみると様々な気づきがあります。
- 「データ上は通れるけれど、交通量が多すぎて原付だと右折しづらい交差点」
- 「新しく開通したばかりで、まだ規制情報が反映されていないバイパス」
- 「走行中にチラッと画面を見たとき、曲がる方向や二段階右折のアイコンが分かりやすいか」
休日は原付にスマホをセットして近隣の街を走り回り、気になった道や標識があればメモを取り、地図データの修正やアプリのUI改善を地道に続けています。
また、ありがたいことに2026年8月9日に開催された**「OpenStreetMapカンファレンス関西」**にて、GenNaviの開発とOSMデータの活用事例について登壇発表させていただく機会にも恵まれました。
コミュニティの皆様が日々アップデートしてくださる地図データがあってこそ、このアプリは成り立っています。
GenNaviが目指していること
機能数で競うのではなく、「安心感」を深くする
GenNaviは、大手のナビアプリのように渋滞予測AIやオービス通知などの多機能さで勝負するつもりはありません。
目指しているのは、ただひとつ。
**「原付に乗る人が、知らない場所へ行くときでも少し肩の力を抜いて走れるナビ」**です。
- 原付が走れない道をあらかじめ避けて案内してくれる
- 曲がる交差点で二段階右折が必要か事前に教えてくれる
- 山道や電波の届かない場所でもオフラインでしっかり案内が続く
「この先、原付で入って大丈夫かな?」「この交差点はどう曲がればいいんだろう?」という不安を少しでも減らし、目的地までの道のりを安心して楽しんでもらいたいと思っています。
おわりに
GenNaviはまだまだ発展途上のアプリです。
道路は日々変化しますし、全国すべての交差点を完璧に網羅できているわけではありません。
だからこそ、利用する際は**「現地の道路標識・交通規制が最優先」**であることは常に意識して走っていただきたいです。
それでも、同じように原付での移動に不安や不便を感じているライダーの方にとって、少しでも頼れる相棒になれれば嬉しいです。
基本機能は無料で使えますので、もし気になった方はぜひ一度試してみてくださいね。
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